報告


 第6回NPOマネジメント講座
  NPOのための
  作って覚えるかんたん積算ワークショップ

 ●講師:古川 隆さん
       (宮城大学地域連携センター 地域振興事業部調査研究部長)
 ●日時:2010.2/25(木) 14:00〜16:00

 
2月25日マネジメント講座の様子
2月25日マネジメント講座の様子

 みやぎNPOプラザでは初となる「事業費積算」をテーマに、宮城大学の古川隆さんを講師にお招きし、マネジメント講座を開催しました。
 助成金や委託事業の申請の際に必要になる適切な事業費積算。積算する前の取り組み方から作り方の基礎、さらに実際に作成までを行い、事業費積算の押さえておくべきポイントを学びました。

(1)積算の前に
 ・仕様書を確認し、NPOに委託する趣旨と、目的に対して業務内容が適切であるかを判断する。それが自分の団体で取り組む意義を明らかにする
 ・出された提案は全て鵜呑みにするのではなく、必要であれば代替案を提示する

(2)積算のポイント
 ・事業及び団体の継続的な活動のため、直接費だけでなく、間接費も含めたすべての必要経費を積算する(フルコスト回収)
  直接費…直接人件費(業務に従事するスタッフの人件費)
        直接経費(講師謝金・旅費交通費・印刷製本費など)
  間接費…直接費以外で業務遂行・団体維持のために必要な経費
        業務管理費及び一般管理費(事務職員の人件費・水道光熱費・法定福利費)
        団体の維持に関する費用(役員報酬・事務所家賃など)も含む
        技術経費(NPOではほとんどない。高度な技術を要する事業の場合)
  ※間接費は最低限、直接費の3割を計上すべき(企業では直接費の100%〜120%を諸経費として計上)
    (「行政からNPOへの委託事業の積算に関する提言」参考)
 ・直接人件費
   事業を支える最も重要な費用。最低限の人件費をしっかりと確保する
   事業の詳細な内容を書き出し、そこに携わる人、単価、工数(日数)を入れ、金額を算出
   金額の根拠を提示して積算する(基準単価はHPなどで公開されているものもあるので参考にしても良い)
 ・直接経費
   交通費などの場合は、摘要欄に(東京→仙台)などと記入する
   ボランティアの交通費は(車の場合も)、公共交通機関を利用した場合の金額を積算すると良い
   講座などで機材を持込したり、イベントの会場や会議室を借りるときは「会場借上費や機材借上費など」として直接経費に
   団体で積算が困難なときは、企業等から参考見積りを徴収して計上する

(3)提出前のチェック
 ・企画と金額・内容が見合っているか、わかりやすい項目で具体的な積算がされているか
 ・項目、工数、経費などで、企画の実現性に説得性があるか
 ・過去の類似事業から見て、自分の団体の積算が妥当か(落札価格の予想)
   などをチェックする。


 積算の数字すべてに根拠を持たせて「実現性」を、事業に必要なものに対しては強い「説得力」を持たせることが忘れてはいけないポイント。妥協はせず、ひとつひとつをしっかりと確認しましょう。

 最も重要なのは、しっかりとした事業への「対価」を積算すること。NPOだからといって、低い間接費率が適当とは言えません。せっかくの委託事業・助成金も、活動の継続を困難にしてしまっては意味がありません。中には団体の存続まで危ぶまれるケースもあるため、十分な検討が必要です。


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