第9回税務会計講座
 NPOの会計〜報酬と税金の関係〜


 ●講師:平野 由紀子さん(税理士)
 ●日時:2006.12/21(木) 13:00〜16:00

 

 源泉徴収制度とは、
@給与や利子、配当などを支払う者が、
Aその所得を支払う際に所定の方法により所得税額を計算し、
B支払金額からその所得税額を差し引いて国に納付する制度である。
 これによって徴収された所得税の額は、その年の年末調整や確定申告によって精算される。

■源泉徴収
@「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署に提出
A「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員(スタッフ)から提出させる
B「給与所得の源泉徴収税額表」を使って源泉徴収額を算出
C「源泉徴収簿」に記録
D「給与所得、退職所得等の所得税徴収高計算書(納付書)」を作成
E翌月10日までに納付(納付期限の特例あり)
 
 NPOであっても給与や報酬を支払っていれば、一般の会社と同じように源泉徴収義務者である。つまり上記の流れに沿って事務手続きをし、所得税を納付しなければならない。

 年末調整とは、給与の支払者がその年の最後に給与を支払うとき、その年中に給与を支払うごとに源泉徴収をした所得税の合計額と、その年中の支給総額について納付すべき税額(年税額)とを比較して、過不足額の精算を行うことをいう。

■年末調整
@各種控除の申告書をスタッフから回収
A年税額と源泉徴収額の差額を計算
B納付のための必要書類(法定調書)を作成し、それぞれの機関へ提出
 ・給与所得の源泉徴収票
  税務署の提出が必要な受給者分は…
   4枚複写で作成→税務署受給者
   給与支払報告書→市町村
  税務署の提出の必要がない受給者分…
   3枚複写で作成→受給者
   給与支払報告書→市町村
 ・給与支払総括表→市町村
 ・給与の支払状況内訳書→税務署
 ・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
    (同一人物への支払合計が5万円以上)→税務署
 ・不動産の使用料等の支払調書(15万以上)→税務署
 ・給与所得の源泉徴収票の法定調書合計表→税務署 

 源泉徴収や年末調整の事務手順もさることながら、受講者の最大の関心事は、「スタッフや有償ボランティアに支払っているものは源泉徴収の対象の所得に含まれるのか?」ということ。現状では、「有償ボランティア活動も課税対象という判例があるので、多くのNPOが源泉徴収義務者に該当すると思われる。つまり源泉徴収も年末調整も相応の処理が必要。」と講師の平野さん。
 
 源泉徴収や年末調整は、さまざまな書類を準備しなければならず、複雑で分かりづらい。しかしスタッフを一人でも雇用していれば、源泉徴収と年末調整の事務は必須。分からないときは、税務署に聞くと丁寧に教えてくれる。また、国税庁のホームページから各用紙や説明書をダウンロードすることもできる。


▲ページトップへ