第10回会計税務講座
 これでバッチリ!NPOの会計監査のツボ

 ●講師:橋本 潤子さん (公認会計士)
 ●日時:2008.2/28(木) 13:30〜16:30


 
 NPO法人の会計は、その活動結果を法人の構成員や寄付をしてくれた人たちに対して説明するため、あるいは法人の活動を評価し、それ以降の活動を効率化するなどの目的のために欠かせないものです。
  その会計の基本原則、そして監査するポイント、または監査を受ける側としての日常の会計処理のポイントを学びました。



 特定非営利活動促進法では、第27条で「会計の原則」としてNPO法人の会計について守るべき原則を定めている。

第27条
  特定非営利活動法人の会計は、この法律に定めるもののほか、次に掲げる原則に従って、正しく行わなければならない。
    削除
    会計簿は、正規の簿記の原則に従って正しく記帳すること。
    財産目録、貸借対照表及び収支計算書は、会計簿に基づいて収支及び財政状態に関する真実な内容を明瞭に表示したものとすること。
    採用する会計処理の基準及び手続については、毎事業年度継続して適用し、みだりにこれを変更しないこと。

2月28日会計講座の様子
 このなかの「正規の簿記の原則」を構成する要件として、一般的には、(1)網羅性…法人の財産の動きや状態をすべて表していること、(2)検証性…検証可能な証拠に基づいて記録されること、(3)秩序性…体系的に整然と記録されること、が挙げられる。
 「真実性及び明瞭性の原則」とは、法人の財務状況や収支について、真実の内容を明瞭に記さなければならないことで、「継続性の原則」とは、一度採用した会計処理の方法は、正当な理由がない限り継続して適用することである。
 これらに沿って会計処理を進めることが求められる。

 会計監査では、まず団体内で業務を適正に遂行するために内部統制が構築され、その有効性と効率性が保たれているかを確認する。(1)経理責任者は明確になっているか、(2)決算については理事会等の機関で承認されているか、(3)支払事務はルールが定められているか、またはルールは遵守されているか、など具体的な確認が必要である。
 特にNPOは現預金による金銭管理のウエイトが大きいため、不正を起こさせない仕組みづくりが求められる。

 また、期末の現金確認は、本来ならば監事がカウントするべきであるが、実際には難しい。そのため、期末日に現金を残さず、現金はすべて一旦金融機関に預け入れると良い。また、残高証明書の発行には手数料がかかるので、通帳で確かめることで十分であるが、期末後の取引が記帳されている現物もしくはコピーで確認を行う。
 様々な書類が整備されているかも重要事項である。委託事業収入、補助金収入、助成金収入等は、契約書や交付要綱に基づき、正しく計上されているかを確認し、支払の証拠書類は適切に整理保存されているか、サンプリングによる証憑突合を行うことが望ましい。
 なお、補助簿は必須ではないが、個別の内容の適否が判断できるように、個別の残高の内訳とその内容が把握でき、かつ、個別の残高の合計が勘定科目の残高に一致していることが確かめられることが必要である。
 これらを経て、決算書類(NPO法人の場合は、財産目録、貸借対照表、収支計算書)が正しく作成されているかを確認することになる。

 監査を迎える団体が多いこの季節。NPO法人の監事が監査を行う際に使用するものとして作成され、今回の講座でも使用した『NPO法人監事の監査チェックリスト』(NPO法人NPO会計税務専門家ネットワーク作成)。ホームページからのダウンロードが可能なので、ぜひ積極的にご活用ください。
http://www.npoatpro.org/what.htm

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