会計税務講座【出前講座(石巻地域)】
  NPOのための会計初級講座 in 石巻

 ●講師:脇坂誠也さん(税理士・(特活)NPO会計税務専門家ネットワーク理事長代理)
 ●日時:2009.10/5(月) 13:30〜16:30
 ●場所:石巻合同庁舎401会議室

 
10月5日会計講座の様子
10月5日会計講座の様子
 みやぎNPOプラザでは今年度から、県内各地でNPOに関する講座をお届けする「NPO出前講座」を始めました。第1回目の会場は、県内では仙台市に次いで人口の多い漁港のまち、石巻市です。東京から「NPO会計マニュアル」制作者の脇坂誠也さんを講師に招き、NPO会計の基礎をわかりやすく教えていただきました。石巻市や近隣市町村から集まったNPOや行政職員の方々は、脇坂さんの講義に熱心に耳を傾けていました。では、講座の一部をご紹介します。

  会計は英語で“Accounting(=説明)”という意味があります。NPO法人会計の第一の目的は、財産を託された人(理事、会計担当者)が、財産を託した人(会員、寄附者など)に対して、お金が適切に使われたことを説明することです。第二の目的は、会計・事業報告を通して自分たちの団体を多くの人に説明し、活動をより理解してもらい、参加してもらう機会を作ることです。
  NPO法人と任意団体の最大の違いはこの点です。NPO法人は事業・会計報告を所轄庁に提出する必要がありますが、任意団体はその必要がありません。

■NPO会計の概念
 NPO法人は、事業年度終了の日から3か月以内に事業報告書、貸借対照表、財産目録、収支計算書、役員名簿及び10名以上の社員名簿を所轄官庁に提出しなければいけません。その中でも、貸借対照表、財産目録、収支計算書が所轄官庁に提出する計算書類です。
【貸借対照表】
 所有する預貯金や資産などがどれだけあるのか、どれだけの借金などの負債があるのかをNPO法人をとりまく様々な関係者に報告する目的で作成するものです。営利企業においても作成されるものであり、基本的に同じものですが、負債の部の「正味財産」は、企業では「純資産」にあたります。
【財産目録】
 貸借対照表の内訳明細書といってもよいものであり、決算の時期に貸借対照表と照らし合わせながら作成する書類です。
【収支計算書】
 収入と支出を明らかにして1会計年度分を集計しNPO法人の活動実績を表す計算書類です。収入とは組織活動を通じて資金が増加した原因を表すもので、支出とは、資金が減少した原因を表すものです。

■勘定科目の設定
 勘定科目の名称については決まったルールがありません。NPOの計算書類は家計簿とは違い、作成者以外の人が利用するため、読み手の立場になり、「みんなは何を知りたいのか、どう報告すると理解してもらえるのか?」といった創意工夫が必要になります。但し、科目設定にある程度の規定はありますので、勘定科目一覧(「NPO会計マニュアル」P.54)を参照してください。
 例)ホームページ作成費の勘定科目はどうしたらいいですか?
 団体によって自由に勘定科目を設定して構いません。例えば、「業務委託費」、「外注費」、自分たちの団体をアピールする目的であれば「広告宣伝費」、「広報費」などがあります。ホームページ作成にかける金額が多く、それを明確にしたい場合は「ホームページ費」、金額が小さい場合は「雑費」でも構いません。
【事業費と管理費の違い】
 NPOでは、支出を「事業費」と「管理費」に分けることが基本です。事業費とは、ミッション達成のために直接使用した支出で、管理費とは組織全般を支える支出のことです。人件費がすべて管理費になるわけではありません。NPOの掲げるミッションの事業に専従している職員の給料や通勤費などは「事業費」、経理や総務を専従している人の給料などは「管理費」となります。

■帳簿の付け方
 帳簿は、NPOの財産や収支の状況を明らかにするための書類で、大きく「仕訳帳」と「総勘定元帳」に分けられます。
【仕訳帳】
 日々の取引を記録した帳簿です。現金に関する取引は「現金出納帳」、預金に関する取引は「預金出納帳」に記帳します。現金も預金も関係しない取引は、振替伝票に記録します。
【総勘定元帳】
 勘定科目ごとに日々の取引を記録して集計したものです。会計ソフトを使えば自然とできますが、使用していない場合は、多桁式の現金出納帳を使用するなど作成が必要です。収支計算書等の勘定科目の金額の内訳がわからなくなってしまうのを防ぐためです。
【現金出納帳に記帳する日付】
 「現金」が移動する日の日付で現金出納帳を記帳します。領収書の日付で記帳していると、実際の現金残高と合わなくなり、現金管理ができていないという意味になってしまいます。昔の領収書が出てきて精算する際なども、遡って現金残高を修正するようなことはしないようにしましょう。


 脇坂さんの具体例を挙げた説明や、税理士ならではの裏話に、参加者が頷く姿も多く見られました。アンケートからは、「詳しく、分かりやすく教えていただいて助かった」「今まで自分のやり方が不安だったが、講座を受けて自信がついた」という声がありました。
 講座で使用した「NPO会計マニュアルは」、こちらからダウンロードできます。
http://www.npo-support.jp/npo_support/img/npo_kaikei_manual/npo_kaikei_manual.pdf(PDF形式)
 また、みやぎNPOプラザで1冊300円で販売しておりますので、購入ご希望の方は、お気軽にお問合せください。
  みやぎNPOプラザ TEL:022-256-0505

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