会計税務講座【出前講座・石巻】
 みやぎNPOプラザ会計セミナー
 〜NPOの会計が、市民と社会から信頼されるポイント〜

 ●講師:瀧谷和隆さん(税理士)
        (特活)NPO会計税務専門家ネットワーク事務局長
        (特活)エーピーアイ・ジャパン理事長
 ●日時:2010.10.02(土)13:30〜16:30
 ●場所:石巻市役所5階市民活動ルーム / 共催:石巻市


 
 
10月2日会計講座の様子
10月2日会計講座の様子
10月2日会計講座

今年度、第1回目となる「出前講座」は石巻市役所を会場に、「会計セミナー〜NPOの会計が、市民と社会から信頼されるポイント〜」を開催しました。講師は、NPOの会計支援のため、全国的に活躍している、税理士の瀧谷和隆さん。 NPOの会計の目的と特徴や、会計報告のポイント。そして、情報提供として、「NPO法人会計基準」が紹介されました。”市民にとって分かりやすく、信頼される会計書類を作ろう”と策定された「会計基準」。基準策定を通して、現在、全国的に注目されているNPO会計の動きについて学びました。

1.会計の目的
会計は団体の活動の実態を説明する道具の一つで、団体内部の人たちへの報告=「内部管理」としての側面と、寄付者や所轄庁、税務署、助成財団などへの報告=「外部報告」としての側面の2つがあります。内部管理としての会計は、団体活動の方向性を決定(判断)するための材料となり、外部報告としての会計は、社会に対して活動を伝えるという役割を持ちます。

2.NPO法での会計のルール
NPO法人はNPO法に則って会計を行わなくてはなりません。

「会計の原則」(NPO法第二十七条)
(1)正規の簿記の原則:網羅性(財産の動きや状態を全て表していること)、検証性(検証可能な証拠に基づいていること)、秩序性(体系的に整然と記録されていること
(2)真実性・明瞭性の原則:計算書類(財産目録、貸借対照表、収支計算書)は会計簿に基づいて作成される必要があり、それ以外のデータから作成されることは認められないことを定めている。
(3)継続性の原則:会計処理の基準、手続きは、毎事業年度継続して適用しみだりに変更しない。

「区分経理」(法第五条)
NPO法人は、「その他の事業」を行うことができますが、その場合、得た収益は特定非営利活動に係る事業のために使用しなければなりません。また、その他の事業に関する会計は、特定非営利活動に係る事業に関する会計から区分し、特別の会計として経理しなければなりません。これはNPO法人独特のルールでもあります。

「事業報告書等の備置き等及び閲覧」(法第五条)、「事業報告書等の提出及び公開」(法第二十九条)
NPO法人は、毎事業年度終了後3カ月以内に「財産目録」「貸借対照表」「収支計算書」「役員名簿」「社員名簿」を作成し、事務所に備え置かなければなりません。また同書類は所轄庁に提出しなくてはなりません。


3.NPO法人会計基準(情報提供)
「NPO法人会計基準」は、(特活)NPO会計税務専門家ネットワークと、(特活)シーズ・市民活動を支える制度をつくる会が中心となってつくられた、NPO法人が会計書類を作成する際の、統一の基準です。 NPO法人が年に一度、所轄庁に提出する計算書類は、市民に対する情報公開という重要な意味を持ちますが、提出する書類には統一の基準がなく、各法人によってバラつきがありました。そのため、市民にとってはわかりにくく、社会的な信頼を得るには充分なものにはなっていないというのが現状でした。そこで、「市民にわかりやすく、社会の信頼を得られる会計書類をつくろう」と、公認会計士、税理士、学識経験者、NPO関係者などが携わり策定に向けたプロジェクトがスタートし、今年7月に発表されました。

◎会計基準のポイント
 ・会計基準は、法律ではないため、法的な強制力はない。
 ・市民にとって、分かりやすく、団体の活動内容が分かる会計書類をつくる。

■ポイント@:収支計算書から活動計算書へ。
計算書類は「貸借対照表」と「活動計算書」(今までの「収支計算書」を「活動計算書」とする)で作成されます。勘定科目ごとに分けて書き記す、複式簿記の原則を採用しています。
■ポイントA:事業費も形態別分類に
これまでの事業費は、事業名ごとの目的別に分けられている団体も多く、その内訳は不透明でした。会計基準では、事業費全体を科目別に記載し、事業費や事業ごとの内訳等は必要に応じて財務諸表に注記するようになりました。
■ポイントB:使途が制約された寄付等は原則注記する。
■ポイントC:ボランティアなどを会計に取り込むことができる。
■ポイントD:小規模法人への対応

みやぎNPOプラザでは、今後も会計基準の情報提供をはじめ、専門相談や、会計講座などNPOの会計をサポートする取組を行っていきます。NPO法人会計基準の、ダウンロード・最新情報・Q&Aはみんなで使おう!「NPO法人会計基準」(NPO法人会計基準協議会)をご覧ください。

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