第8回税務会計講座
 NPOのためのやさしい税金講座


 ●講師:平野 由紀子さん(税理士)
 ●日時:2006.11/21(火) 13:00〜16:00

 



 NPO法人に税金は縁遠いもの…と思われがちだが、NPO法人にかけられる税金はたくさんある。今回の講座では、法人税を中心に税金の基本や仕組み、税額の計算方法などを学んだ。

 法人税とは、法人の所得を基準として法人にかかる税金のことである。1事業年度のうちに生じた「益金の額」から「損金の額」を差し引いて所得金額を算出。そして課税標準である所得金額に税率を適用して算出した金額から、源泉徴収された所得税額、その他の控除税額を差し引いて計算し、法人税額が算出される。
 税率は下記の表の通り所得金額・資本金の区分等によって異なった税率が摘要される。法人税法上、NPO法人は「公益法人等」に含まれていないが、特定非営利活動法で「公益法人等」とみなされる「みなし公益法人」である。つまり、NPO法人は株式会社などの普通法人と同じ税率が適用されることになる。

 また、所得に応じて税率が異なるが、一般の記帳より水準の高い記帳をし、その帳簿に基づいて正しい申告をする人については、所得の計算などについて有利な取扱いが受けられる「青色申告」の制度がある。青色申告所の提出承認の手続きは、青色申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日までに「青色申告の承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。この青色申告の主な特典は次のようなものである。

 ・繰越欠損金の損金算入
 ・割増償却、特別償却等の減価償却の特例
 ・技術等海外取引に係る所得の特別控除
 ・各種準備金の損金算入

 青色申告人は、所定の帳簿を備え付け、一切の取引を複式簿記の原則に従って記録し、それに基づいて計算を行わなければならない。帳簿は仕訳帳、総勘定元帳、その他必要な情報を備え付け、決算においては、一定の要件に該当する棚卸表、貸借対照表、損益計算書を作成しなければならない。
 NPO法人は営利を目的としないため、元来法人税の納税義務はなかった。しかし事業資金獲得のため営利目的の事業を行うようになったため、その営業目的とする事業、すなわち収益事業から生じた所得についてのみ法人税を課税することとされた。
 この収益事業は、販売業、製造業その他法令で定める事業(33事業)で、継続して事業場を設けて営まれるものをいう。
 
 「やさしい税金講座」と銘打った11月の税務会計講座。とはいっても、一度で理解するのは、やはり難しい。講師からは「税務申告はやはり大変。難しいかもしれませんが、ひとつひとつ勉強してクリアしていってください。」とのコメント。講座終了後も講師への質問が続き、熱心な受講者の姿が見られた。



公益法人等
協同組合等
特定医療法人
普通法人
みなし公益法人等
(NPO法人を含む)
消費生活協働組合等

所得
税率
所得
税率
所得
税率
一律
22%
年800万円以下
22%
年10億円以下
22%
年800万円超
30%
年10億円超
26%

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